2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・フォノニクスの開拓と新たな音響量子素子設計への展開
Project/Area Number |
17510106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 信一朗 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80109488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 之博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00281791)
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Keywords | 量子化熱伝導度 / ナノ構造 / 超格子 / フォノン / FDTD法 / キャビティ |
Research Abstract |
研究初年度である平成17年度における主要な研究成果は次の2点にまとめることができる。 (1)ナノ構造における量子化熱伝導度に関する理論解析 熱伝導度の量子化は一様な細線構造においては見られず、断面積が断熱的に変化するナノ細線中でのみ観測されると期待される。このような細線構造中の音響振動解析をTimoschenko理論により展開した。特に4つの音響フォノン・モード(縦モード、捩れモード、撓みモード,ずれモード)と低次のギャップ・モードである曲げ振動モードに関し、運動方程式に基づく解析をカテノイダル細線形状に対して遂行した。その結果、従来量子化が保たれると考えられていた1K以下の低温領域において、熱伝導度の量子化が一旦破れることを示し、さらに1mKの極低温領域において量子化が回復されることを、理論的に明らかにした。 (2)超格子構造におけるフォノン・キャビティ効果の解析 フォノン・キャビティ(閉じこめ)モードは母体である超格子に周期性を破る異質な層が埋め込まれた構造において生じる。この系の音響振動の解析には、格子グリーン関数法が有用であり、3つのフォノン(ベクトル場)・モードが結合している系に本問題へ適用し、キャビティ層内に局在し、しかも層に沿っては伝播してゆくキャビティモードに対応する固有解を求めた。この結果、これらのモードは音速で伝播してゆくのではなく、種々の群速度を有していることが判明した。とくに、群速度が0で、全く伝播できないモードの存在を見いだした。以上の結果を検証するために、FDTD法に基づく数値シミュレーションを展開し、キャビティモードの伝播の様子を明らかにした。
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Research Products
(2 results)