2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・フォノニクスの開拓と新たな音響量子素子設計への展開
Project/Area Number |
17510106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 信一朗 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (80109488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 之博 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00281791)
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Keywords | フォノン / フォノニック結晶 / フォノニック・ギャップ / オパール / ソリトン |
Research Abstract |
研究3年目にあたる平成19年度は、主として(1)「フォノン・ソリトンの伝播における多次元(2、3次元)性効果」、と(2)「3次元フォトニックーフォノニック結晶(オパール)におけるバンド構造」、に関する研究を進めた。(1)に関しては、ソリトンの縦伝播距離に比べて横方向の伝播距離が実験においては小さな状況を考慮に入れ、この方向での非線形性と分散性を無視した近似での格子歪みの従う運動方程式を導出した。これは2次元ではK-P方程式、また3次元では軸対称な3次元K-P方程式となることを導いた。横方向の初期歪みの分布を、実験でのポンプ・レーザの強度分布に合わせてGaussianと仮定し、伝播数値シミュレーションを行った。その結果、1次元の場合と同様に、縦方向に複数のソリトンが(初期歪みの大きさに依存して)形成されてゆくこと、またそれらの横方向の空間的プロファイルが放物線状に広がったものになって行くことを見いだした。この結果はプローブ光を横方向にスキャンすることにより、1次元の実験と同様に、ピコ秒超音波法により、観測可能である。また(2)に関しては、FCC構造をとる3次元シリカガラス球からなるフォノニック結晶において、孤立球のスペクトルから次第にフォノンのバンドが形成されてゆく様子を初めて明らかにした。特に、分散関係に現れる完全ギャップが、ガラス球の焼結率とともにどのように変化してゆくのか、を明確に示した。以上の成果はMulti-dimensional effects on the propagation of strain solitons in solids、とPhononic properties of opals とのタイトルで取りまとめ、PHONONS07(第12回凝縮体におけるフォノン散乱国際会議)において口頭発表を行った。また引き続き(2)のテーマであるフォトニックーフォノニック・ギャップの相互作用に着目し、これらの2つの"結晶"は実は同一の人工物質であることから、両結晶の概念を更に拡張することにより、新たに「フォノトニック結晶」の概念を提案し、それらに関する成果を米国物理学会のレター誌(PRL)に投稿した。
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