2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 眞理子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90323550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 慎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (60376663)
大塚 一路 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教員(特任助手) (30361869)
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Keywords | ファイナンス / 計量経済学 / 金利の期間構造 |
Research Abstract |
平成17年度においては、 1.金利の期間構造について、割引関数をBスプラインで表すと同時にフォワードレートに滑らかさの制約を課すことにより滑らかなイールドカーブとフォワードレートカーブを推定する手法を新たに提案し、推定プログラムを開発した。これにより、利付国債の価格データから日次のイールドカーブの詳細なデータセットを作成した。 2.金利変動に関するモデル分析については、 第1に、金融政策等に伴う中期的なトレンドのシフトなどの定常的でない変動を分析するため、無限の状態数を持つ多変量ランダム・レベルシフトモデルを採用し、ギブスサンプラーによるベイズ推定を行った。その結果、イールドカーブの時系列における階段状の水準変化と傾きの変化が抽出され、公定歩合や景気動向指数との相関が見出された。(2005年度日本経済学会秋季大会で発表) 第2に、価格カーネルより導かれる無裁定条件を課したショートレートと期間構造のモデル化の枠組みをレジームシフトを含む形に拡張し、1992年から2003年までの金利変動に関する実証分析を行った。2レジーム、2状態変数の状態空間モデルを仮定し、パーティクル・フィルタによるパラメータと状態の同時推定を行った結果、ゼロ金利・デフレ下の日本経済においてはレジームと景気循環の間に一定の関係が見られること、2つの状態変数はそれぞれ期間構造のレベルと傾き(長短スプレッド)に対応していると解釈できること、などの点が明らかになった。(2006年度日本ファイナンス学会にて発表予定) 3.以上の実証分析を通じ、景気動向指数・消費者物価指数・公定歩合等のマクロ経済変数や政策変数と金利変動との相関が抽出されたため、こうした関係を明示的に組み入れた3次元金利モデルを構築し、シミュレーション分析等を可能とするための基礎的研究を行っており、次年度に継続して進めてゆく。
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