2005 Fiscal Year Annual Research Report
エージェント・ベース・シミュレーションによる自己組織的なマーケティング現象の考察
Project/Area Number |
17510134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
熊倉 広志 専修大学, 商学部, 助教授 (10337826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 浩文 城西国際大学, 経営情報学部, 教授 (40211859)
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Keywords | マーケティング / エージェント / 自己組織化 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究においては、エージェント・ベース・シミュレーション(agent base simulation、以下ABS)を用いて、大域的なマーケティング現象(個別市場に固有の現象ではなく、遍く市場に共通する現象)が自己組織的に形成されるメカニズムを考察しようとする。まず、データに基づいて大域的なマーケティング現象を指摘した後、複数の企業と消費者をエージェントとするABSモデルを構築し、エージェント間の相互作用を通じて、当該現象が自己組織的に形成されるメカニズムを考察する。さらに、本モデルに依拠し、マーケティング戦略への実務的示唆を導出する。 平成17年度においては、以下を実施した。まず、消費者の購買履歴データ(ホームスキャンパネルデータ、10市場×10年間)により、大域的マーケティング現象として20/80の法則(少数の製品が市場の大半を占有する。売上分布の歪みを記述する)が存在することを確認した。具体的には、Mandelbrotモデル(f(r)=b(r+k)^a、ただし、r:製品の売上高の順位、f(r):売上高)が成立することを示した。次に、マーケティング論、消費者行動論、情報処理理論、社会学などにおける先行研究に依拠し、大域的な現象を自己組織的に創発するエージェント(企業および消費者)のルールの考察を試みた。並行して、20/80の法則を自己組織的に創発し得るABSとは、どのような特徴を有しているかについて検討した。
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