2007 Fiscal Year Annual Research Report
強震動シミュレーションのための震源物理パラメータの推定の研究
Project/Area Number |
17510146
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮武 隆 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (60126183)
|
Keywords | 震源過程 / 強震動 |
Research Abstract |
昨年度発見した,負応力降下域での破壊伝播の遅れを,中越地震について特に詳細に検討した. その結果,負応力降下域で破壊遅れ無しの場合の合成地震波形は,破壊遅れ有りの合成地震波形に比べ,観測データとの一致がきわめて悪くないことがわかった.また,中越地震の震源域は,構造境界という強い不均質性のある場所であることがわかっている.このような場合に従来の均質半無限媒質中の応力降下量推定コードでは,応力の推定は正しくない.そこで.不均質構造内の断層運動による静的応力降下量推定の計算コードを作成し,これにより,精度良い応力降下量の推定を行った.均質一様な場合と比べ,30%〜50%程度の変化が生じた.他の地震についても,同様の検討を行い同様の結果を得た. 平成19年度は,短周期成分の成因についても検討した.昨年度までに得られた,断層の物理パラメータであるDcの影響は,数ヘルツ程度と見積もられ,短周期成分の考察が不可欠と判断されるからである.そこで,短周期の成因に関して,有力なパラメータとして破壊伝播の揺らぎと滑り量分布の揺らぎの影響について検討した.破壊伝播速度の揺らぎに関しては,地震波速度の揺らぎに用いられているVon Karman型分布を用いて検討した.またランダム滑り分布に関しては,Maiにより同じくVon Karman型分布が提案されている.これらに従ってランダム分布を用いて検討した.その結果,破壊伝播速度の揺らぎは,破壊伝播速度がS波に近い場合に,より強い短周期パルスを生成することがわかった.
|
Research Products
(2 results)