2005 Fiscal Year Annual Research Report
2D-DIGE法およびQ-Trap型質量分析によるプロテインキナーゼD基質の解析
Project/Area Number |
17510167
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
入江 厚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30250343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10156119)
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Keywords | プロテオミクス / PKC / PKD / リン酸化タンパク質 / T細胞 / ZAP-70 / シグナル伝達経路 |
Research Abstract |
申請者らは抗原ペプチドのわずか1アミノ酸残基を置換したアナログペプチドの刺激により、ZAP-70の活性化を伴わない強いT細胞応答が誘導されること、およびこのT細胞応答にセリンスレオニンキナーゼであるプロテインキナーゼD(PKD)の活性化が関わることを報告している。PKDファミリーキナーゼには、PKD1〜3の3種の存在が知られている。界面活性剤入りバッファーで可溶化したT細胞を、PKDに対する特異的な抗体で免疫沈降を行ない、Maldi-四重極-飛行時間(Q-TOF)型高感度質量分析装置を用いた解析を行ったところ、T細胞に主に存在するPKD分子はPKD2であることを明らかにした。 T細胞活性化機構におけるPKD2の役割を調べる目的で、常時活性型PKD2を強制発現させたヒトT細胞を、抗T細胞抗原受容体(TCR)抗体を用いて刺激し、その可溶化物より総リン酸化タンパク質を分画した。このリン酸化タンパク質分画を二次元電機泳動により展開し、そのパターンを、PKD2を導入していない対照T細胞のものと比較した。その結果、2種類のリン酸化タンパク質について、常時活性型PKD2を発現するT細胞において著明に増加することを確認した。これらのタンパク質スポットをゲルより回収し、トリプシン消化後、質量分析法により分子種を同定したところ、いずれもヒストンのアセチル化の制御に関わるリン酸化核タンパク質であることが判明した。これらのタンパク質のcDNA全長をクローニングし、大腸菌を用いてそのタンパク質を調製し、実際にPKD2の基質となるかどうかの確認を行ない、2種のうちの1つはPKD2により特異的にリン酸化されることを確認した。また、蛍光標識した野生型PKD2はTCR刺激により核内に移行し、また常時活性型PKD2は刺激を加えなくても核に存在することを見いだした。これらの結果は、活性化PKD2は核内で何らかの基質をリン酸化する可能性を示唆するものであり、同定されたタンパク質が核タンパク質であったことと合致する。今後、同定した核タンパク質のPKD2によるリン酸化部位を、Q-Trap型質量分析装置を用いた解析する。
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Research Products
(2 results)