2005 Fiscal Year Annual Research Report
貝毒アザスピロ酸の全合成とハプテン合成に関する研究
Project/Area Number |
17510173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
及川 雅人 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70273571)
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Keywords | 合成化学 / 全合成 / ハプテン / 天然物化学 / 貝毒 |
Research Abstract |
アザスピロ酸は、ムール貝などの二枚貝によってアイルランドで発生する新規食中毒『アザスピロ酸中毒』の原因毒として単離・構造決定されたポリエーテル化合物である。本年度はこの化合物の全合成に向けて、その下半分(EFGHI環部)に相当するC21-C40位セグメントの合成を行った。 まず、E環部に相当するアリルスズ化合物をマロン酸誘導体から16段階で合成する方法を確立した。FGHI環部に相当するC28-C40位セグメントは、酸性の条件下で不安定なスピロアミナール構造を含んでいるため、高収率合成法の開発に取り組んだ。ここでは主に環化の順序と、40位アミノ基の保護基の選択に焦点を当て、検討を進めた。その結果、環化の順序についてはHI環→FG環が収率と選択性の点で優れているという結論に達した。アミノ基の保護基については、スルホンアミドを採用したときに、HI環形成が望む選択性では進行せず、天然物とは逆の立体化学のものが選択的に生じるということが明らかになった。アリルカルバメート保護基にすると、HI環形成反応が高収率、高選択性で進行することを見出したが、C28,32位水酸基に用いたベンジル保護基との区別に困難があった。そこでこのアミノ基の保護基にプロピルカルバメートを採用したところ、HI環の形成および他の官能基との区別において満足できる結果を与えた。 合成した二つのE環部およびFGHI環部セグメントのカップリング反応は、塩化インジウムをTHF中で作用させる穏和な方法によって極めて円滑に進行し、88%の収率で生成物を与えた。最後にFG環をシリル保護基を脱保護しながら形成させ、アザスピロ酸下半分の保護体の合成を達成した。
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