2006 Fiscal Year Annual Research Report
貝毒アザスピロ酸の全合成とハプテン合成に関する研究
Project/Area Number |
17510173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
及川 雅人 東北大学, 大学院生命科学研究科, 助教授 (70273571)
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Keywords | 合成化学 / 全合成 / ハプテン / 天然物化学 / 貝毒 |
Research Abstract |
アザスピロ酸は、ムール貝などの二枚貝によってアイルランドで発生する新規食中毒『アザスピロ酸中毒』の原因毒として単離・構造決定されたポリエーテル化合物である。本研究では前年度(H17)までにその下半分(EFGHI環部)に相当するC21-C40位セグメントの合成に成功している。本年度は、この合成において問題となっていた部分の解決をまず図った。具体的には、まずC40位アミノ基の保護基に用いていたプロピルカルバメート基の除去の検討を行った。Red-A1を用いた場合に10-70%程度の収率で進行することがわかったが、基質によって収率にばらつきがあり、基本的に高収率では進行しないことがわかった。そこでメチルカルバメサトやフェニルカルバメートなど、他のカルバメート系保護基の検討も行い、最終的にトリメチルシリルエチルカルバメート基が本研究の目的に最も適していることを見出し、これを用いたC21-C40位セグメントの大量合成のために足がかりを付けた。 また、本年度はアザスピロ酸の上半分の合成に着手し、CD環部に相当するC13-C20位セグメントの合成、およびE環部との縮合の予備実験を行った。CD環部の合成は、出発原料に1,5-ヘキサジエン-3-オールを用いて行い、クライゼン転位および不斉ジヒドロキシル化を鍵反応とする合成によって12段階でアルデヒド体として達成することができた。このアルデヒドに対し、E環部スルホンをリチオ化して縮合させたところ、10-20%程度の低収率ながら縮合生成物を得ることができた。ここで得られた知見は、アザスピロ酸の収束的な効率合成に直接的に役立つだけでなく、アザスピロ酸の抗体の開発や、構造活性相関研究を進めるうえで、極めて重要である。
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Research Products
(2 results)