2006 Fiscal Year Annual Research Report
細菌細胞表層の免疫生物活性を有する新奇高分子複合糖質の構造と作用機構の解明
Project/Area Number |
17510179
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
隅田 泰生 鹿児島大学, 大学院理工学研究科, 教授 (70179282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 雅仁 鹿児島大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (30333537)
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Keywords | グラム陽性菌 / 自然免疫 / リポタイコ酸 / リポプロテイン / リポペプチド / リポアラビノマンナン / 分離・精製 / 活性中和抗体 |
Research Abstract |
グラム陽性菌の主な細胞表層複合糖質であるリポタイコ酸(LTA)は、免疫生物活性を有していると報告されている。しかし、申請者らの腸内細菌Enterococcus hiraeを用いた実験から、生物活性はLTA本体には存在せず、LTA画分を抽出する際に同時に抽出される微量の新奇成分が担っていることが明らかになった。本研究ではこの新奇成分中の活性に必須な構造を明らかにすることを目的とした。 本年度は、活性中和抗体を用いた詳細な検討を行った。抗体は、LTAに含まれるリポタンパク質様成分を認識することが示唆されていたため、各種脂質誘導体を用いてその認識特異性を免疫抗体法を用いて検討した。その結果、抗体は3本鎖及び2本鎖のリポペブチドに強く、1本鎖リポペブチドに弱く結合すること、脂肪酸を持たないペプチドには結合しないことが分かった。また、細胞膜脂質には結合しないことも分かった。これらの結果は、LTAの活性が微量混入するリポプロテインの活性に由来していることを支持している。 一方、結核菌などの抗酸菌の細胞表層に存在する高分子複合糖質であるリポアラビノマンナン(LAM)は、強い免疫増強活性を有することが報告されている。しかし、糖鎖の非還元末端付近の構造が活性に重要であるとされているものの、詳細な構造は未だ不明である。そこで本研究では、LAMの活性に必須な構造を明らかにすることを目的とした。 本年度は、Mycobacterium smegmatisから抽出したLAM画分を用い、活性成分についての検討を行った。画分をイオン交換クロマトグラフで分離した、高アニオン性画分に高い活性が濃縮された。レセプター強制発現系を用いた実験から、この画分はTLR2を用いて細胞活性化を行うことが分かった。また、活性がプロテアーゼにより消失したことから、活性成分がプロテイン様の構造を持つことが示唆された。
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Research Products
(2 results)