2006 Fiscal Year Annual Research Report
二次代謝性配糖化酵素の機能解明を基盤とする新規生理活性分子の創製
Project/Area Number |
17510184
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
市瀬 浩志 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (40282610)
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Keywords | 抗生物質 / 糖 / 生合成 / 放線菌 |
Research Abstract |
研究では、3種類の放線菌由来C-配糖化抗生物質を取り上げ、その配糖化様式の機構解析を進めることを基盤としている。当該年度は、ベンゾイソクロマンキノン(BIQ)系medermycin(MED)の基本骨格形成に関わる以下の検討を行った。MEDはBIQ系抗生物質としてアクチノロジン(ACT)と共通の基本炭素骨格を有し、その配糖化の受容体(=アグリコン)としてその形成過程に興味がもたれる。本基本骨格形成には、炭素鎖伸張、閉環、立体化学制御など鍵となる過程が含まれているが、今回、炭素鎖伸張から立体特異的閉環に関わる還元酵素RED1について、酵素化学的解析を行った。pET21a vectorのT7プロモーター下流に目的酵素遺伝を挿入した発i現プラスミドで大腸菌BL21系株を形質転換しLB培地中で培養・抽出後、可溶性画分をNi-NTA column、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより電気泳動上単一バンドを与える酵素として精製した。本酵素は、ゲルろ過においてホモダイマーとして挙動することが明らかになった。また、本精製酵素液を用い、各種合成基質アナログとのin vitro反応を行った。酵素基質の消費速度並びに各種酵素学的kineticsパラメーターの測定結果から、RED1が認識する2環性中間体基質は、酵素タンパク結合型ではなくカルボン酸型である事が示唆された。この事からACTの生合成経路中においても、RED1が認識するのは酵素非結合型の2環性中間体であることが推察された。本知見は、BIQ配糖化の受容体構造の形成についての重要な知見である。 成果の内容については、第10回工業微生物遺伝学国際シンポジウム(プラハ)で発表し、米国化学会発刊専門誌に学術論文として投稿し、現在、審査中である。
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