2005 Fiscal Year Annual Research Report
化学遺伝学研究用ツールとしての官能基非選択的カルベン挿入反応-その解析と応用-
Project/Area Number |
17510187
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
叶 直樹 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 研究員 (40317293)
|
Keywords | 低分子マイクロアレイ / 官能基非依存型固定化 / 光親和型固定化 / 低分子アフィニティービーズ / カルベンの反応性 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い、以下に挙げる項目に関して研究を行なった。 1.官能基非依存型低分子アレイを用いた解析 我々は、マイクロアレイ基板上にリンカーを介してトリフルオロメチルジアジリン(TFMAD)基を導入し、この官能基の光分解により発生するカルベンを低分子化合物の官能基非依存的な固定化に用いているが(光親和型固定化)、リンカー部分の性質がアレイ化された化合物の結合蛋白質認識能にどのような影響を与えるかを知るために、親水性(ポリエチレングリコールvs.炭化水素)および鎖長(6〜22原子)、基盤への結合様式(ウレア型vs.アミド型)の異なるリンカーを用いた低分子マイクロアレイを作成し、各種蛋白質(各種低分子に対する抗体等)を用いて結合認識能の比較を行なった結果、ヘキサエチレングリコールリンカーをウレア型で基板に結合させたものが最も好成績(高S/N比、低バックグラウンド)を与えた。 2.低分子化合物1分子中の複数の官能基に対するカルベンの反応性の評価 予備的な検討として、既に溶液状態の各種アルコールとTFMAD基から生じるカルベンの反応生成物を解析していたが、今年度は反応条件を-78℃に下げて、固体状態のアルコールとカルベンとの反応を解析した。その結果、固体状態にした方が、カルベンの挿入反応の官能基非選択的度合いが増した。固相状態での反応はマイクロアレイ作成時の条件により近いと考えられるため、光親和型固定化法の官能基非依存性をよりサポートする結果が得られた。 3.官能基非依存型固定化法のアフィニティービーズ調製への応用 アフィニティービーズ上へのTFMAD基の導入量および各種固定化化合物に結合した結合蛋白質量の見積もりを行なった。また、官能基依存型固定化を用いて調製したアフィニティービーズとの比較を行った。
|