2006 Fiscal Year Annual Research Report
絶滅危惧種ウケクチウグイの生息実態調査、遺伝的多様性解析に基づく保全法の検討
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17510192
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉手 英利 山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
中内 祐二 山形大学, 理学部, 助手 (60250908)
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Keywords | 絶滅危惧種 / ウケクチウグイ / 生息調査 / 食性 / DNAマーカー / 遺伝的多様性 / 集団構造 / 保全 |
Research Abstract |
本年度は最上川、阿賀野川の上流域でウケクチウグイの生息実態調査を行った。最上川上流1ヶ所では秋に未成魚2個体の生息を確認したが、その他の季節には確認できなかった。阿賀野川上流1ヶ所では周年、成魚2,3個体の生息を確認した。以上のように、生息確認個体数が少なすぎて季節的消長を推察できるほどではなかったので、次年度も調査を継続する。産卵場については、以前から知られている最上川上流1ヶ所を除き、最上川、阿賀野川水系で産卵場を確認することはできなかった。そこで、産卵場の探索も継続する。 最上川上流域の1ヶ所で採集した未成魚2個体からDNAを抽出し、ミトコンドリアD-loopの塩基配列多型とマイクロサテライトDNA多型を検出し、これまでのデータと比較した。これら2個体のD-loopハプロタイプは、これまでに調べた最上川中・下流の個体の1ハプロタイプと一致した。同様に、これら2個体のマイクロサテライトDNA型は、最上川中・下流の個体の対立遺伝子型と一致した。しかし、このように少ない個体数では、今後集団の遺伝的構造の解析ができないので、両水系に関わる県水試、漁協、自然保護団体関係者に連絡を取り、サンプル確保の協力要請をした。 18年度はウケクチウグイ解析サンプルがあまりなかったので、同属近縁種でウケクチウグイとの交雑のおそれがあるウグイ、エゾウグイ、マルタのマイクロサテライトDNAとタンパクの分析を行った。その結果、どちらの分子マーカーでも種特異性が明確に示され、これらの分子マーカーを用いて、種の同定が困難な仔稚魚や交雑個体の親魚の種判別ができることが明らかになった。しかし、タンパク分析は生体か凍結サンプルでなければできないので煩雑であり、逆にDNAマーカー分析はエタノール固定サンプルでも可能である。そこで、以後タンパク分析は中止し、DNAマーカーだけで種判別を行うことにした。
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Research Products
(1 results)