2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510197
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 智子 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (80305169)
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Keywords | 撹乱 / 基質 / 生物多様性 / 底生生物群集 / 岩礁潮間帯 / 干潟 / 転石潮間帯 / 地理情報システム |
Research Abstract |
沿岸域生態系の生物多様性を維持する上で様々な規模の攪乱が果たしている役割を明らかにするために、野外でおこる様々なタイプの基質攪乱の頻度と強度及びその影響範囲を定量化するとともに、攪乱による底生生物群集の変化とその回復の過程を追跡した。昨年度は、南九州沿岸の岩礁潮間帯、転石海岸、干潟での調査を行ったが、今年度はさらに大型藻類の繁茂する藻場を調査対象に加えた。 1)野外環境調査:基質が受ける攪乱の程度を把握するため、岩礁潮間帯及び海藻藻場について、基質を中心とした物理化学的環境について調査を行った。平成17年とは対照的に台風による撹乱は少なく、基質は安定していた。 2)野外生物調査:岩礁潮間帯及び海藻藻場を中心に生物相の調査を行った。基質の撹乱による生物相の変化は見られなかったが、冬季の高水温は大型藻類の生長を遅らせ、それに伴って動物相にも変化が見られると考えられる。採集した藻場の動物標本を現在解析中である。 3)文献・データベース調査:時空間的により大きなスケールで、環境攪乱の頻度とその影響をとらえるため、公開されている文献やデータベースから得た情報を整理すると共に、海岸線の変化をGISソフトに変換する作業を継続し、以下の点が明らかになった。 (1)過去数十年間に、埋め立て以外の要因で鹿児島湾奥の干潟の配置が変化しており、川砂の流入や潮流の変化が影響している可能性がある。 (2)九州南部沿岸では、過去数十年間に大型藻類の分布が大きく変化した海域と比較的変化の少ないが見られる。 (3)過去数十年間における基質攪乱の原因となり得るような気象現象の強度と頻度、特に降雨について整理したところ、頻度とともに降雨量の多い季節の長期化という変化が見られた。
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