2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510197
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 智子 Kagoshima University, 水産学部, 准教授 (80305169)
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Keywords | 攪乱 / 基質 / 生物多様性 / 底生生物群集 / 岩礁潮間帯 / 干潟 / 海藻藻場 / 地理情報システム |
Research Abstract |
沿岸域生態系の生物多様性を維持する上で様々な規模の攪乱が果たしている役割を明らかにするために、野外でおこる様々なタイプの基質攪乱の頻度と強度及びその影響範囲を定量化するとともに、攪乱による底生生物群集の変化とその回復の過程を追跡した。これまで南九州沿岸の岩礁潮間帯、転石海岸、干潟、海藻藻場を対象とした調査を行ってきたが、今年度はさらにサンゴ礁での調査を行った。 1)野外環境調査:基質が受ける攪乱の程度を把握するため、岩礁潮間帯及び海藻藻場について、基質を中心とした物理化学的環境について調査を行った。梅雨の豪雨及び7月上旬の台風上陸は陸上に与えた影響は大きかったが、沿岸域の基質は比較的安定していた。また、長期にわたる基質の変化を評価するため、1994年に調査された鹿児島湾奥の干潟において再度調査を行い、底質環境を比較した。 2)野外生物調査:岩礁潮間帯及び海藻藻場を中心に生物相の調査を行った。特に後者では、基質も含めた環境攪乱は季節的で予想可能なパターンであることが多く、底生生物はそれにあわせた季節消長を示すことが示された。 3)文献・データベース調査:時空間的により大きなスケールで、環境攪乱の頻度とその影響をとらえるため、公開されている文献やデータベースから得た情報を整理した。その結果、夏の高水温が要因と考えられる珊瑚の白化が一部の地域で報告されているが、秋以降の水温低下に伴って回復した例があり、比較的短い時間スケールで攪乱と回復が繰り返されていることが明らかになった。
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