2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510199
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
谷内 透 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00012021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 隆人 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60205383)
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Keywords | 深海性 / 軟骨魚類 / 東京海底谷 / 日本海 / 生活史特性 / 混獲 / 安定同位体比 / 食地位 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、東京海底谷における深海性軟骨魚類の多様性と食地位及び日本海のガンギエイ類2種の生活史特性の解明を行った。まず、東京海底谷では現在までの所水深150-500mの水域から31種に及ぶ軟骨魚類を採集した。内訳は全頭亜綱2種、板鰓亜綱のうち、サメ類27種、エイ類2種であった。総採集尾数は914個体で、ヘラザメなど5種で、全体の75%以上を占めていた。東京海底谷では少なくとも年間およそ11トンに及ぶ軟骨魚類が投棄されているものと推定される。ヘラツノザメの年齢査定を行ったところ、他の軟骨魚類よりは成長が早いことが判明した。また、希少種ミツクリザメの椎体により年齢査定を行ったところ、最高齢は25歳と推測された。さらに、東京海底谷における食物連鎖解明の一端として、安定同位対比による食地位を23種157個体の軟骨魚類について解析した。その結果、安定同位対比は、δ^<13>Cでは,-18.0‰から-12.7‰、δ^<15>Nでは、11.2‰から18.6‰の範囲となった。C-Nマップで見ると、全頭類と板鰓類のエイ類ではδ^<13>C及びδ^<15>Nともに高い位置にあり、ベントス系列を示したのに対し、サメ類では植物プランクトンからベントス系列までの幅広い食地位を示した。新潟県沖のガンギエイについては、食性と繁殖及び年齢と成長について調査した。まず、高位分類から見た食性では、出現頻度が最も高いのは甲殻類で、次いで魚類となり、軟体類は最も低かった。どの全長範囲でも、また季節的にもエビ類がもっとも多く出現し、特にコシオリエビ科のものが多かった。全長が増加するにつれ、魚類や頭足類のような大型生物の出現率が高くなる傾向が見られた。餌生物重要度指数(IRI)でみると、エビ類の値が図抜けて高く、エビ類が主要な餌であると推定された。年齢形質としては椎体を用い、年輪形成パターンを調べたところ、輸紋は年1回8月に形成されるものと推定された。各個体の大きさから年齢を求めたところ、最高齢は雄では12歳、雌では13歳となった。生殖腺の大きさや長さから推定した成熟全長は、雌雄とも500mm前後で、産卵期は長期に及ぶと推測された。
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Research Products
(5 results)