2007 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原諸島における固有水生生物の保全手法についての研究
Project/Area Number |
17510200
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
佐竹 潔 National Institute for Environmental Studies, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (70150159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉西 良一 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 上席研究員 (10250143)
上野 隆平 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, 主任研究員 (60168648)
五箇 公一 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主席研究員 (90300847)
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Keywords | 固有種 / 水生生物 / 海洋島 |
Research Abstract |
小笠原諸島の父島と母島の陸水域において調査を行い,得られた標本に加えて,前年度までに採集した標本を用いて,多毛類,等脚目などの甲殻類,あるいはユスリカ類などの水生昆虫について分類学的な研究をすすめた。その結果,母島で採集したワラジムシ科Spherillo属の1種が未記載種であり,本来は陸産種であるが淡水での生活にも適応していると考えられるなどの成果が得られた。また,河川感潮域およびその直上部淡水域から多毛類Ceratonereis属の1種が新たに発見されたが,琉球列島産の近似種と比較するなどして,分類学的位置づけについて検討中である。 ユスリカ類については,成虫で記載されていた小笠原諸島の固有種オガサワラフタオツヤユスリカ(Cricotopus ogasaseptimus)の幼虫と成虫との関係を確認し,本種幼虫の生息環境が限られることなどを明らかにした。また,これまで小笠原諸島から得られていなかったユスリカ科Glyptotendipes属の1種を父島・母島のダム湖から採集することができた。 固有水生生物の生息環境のモニタリングの一環として,固有種が多数生息する地域と移入種が数多く生息している地域に温度ロガーを設置し,水温を測定した。その結果,夏季の場合,固有種の生息域と移入種がより多く見られる地域を比較すると,固有種の生息域の方が水温の日格差がより少なく,調査期間を通して水温がより低いなど,環境による温度条件の違いが分かってきた。 水生昆虫や甲殻類の固有種についてのこれまでの分布調査の結果をとりまとめたところ,数種について生息地点の減少などが認められた。なお,本研究の調査結果を受けて,オガサワラニンギョウトビケラ(Goera ogasawaraensis)は環境省レッドリスト改訂版において絶滅危惧II類に指定された。
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Research Products
(11 results)