2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17510203
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
古澤 ゆう子 Hitotsubashi University, 大学院・言語社会研究科, 教授 (00173534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田邊 秀樹 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (80012532)
三瓶 裕文 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40127402)
久保 哲司 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (90170026)
清水 朗 一橋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30235642)
藤野 寛 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (50295440)
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Keywords | 言語学 / EU / 言語意識 / 言語文化 / 多言語主義 / 文化アイデンティティ / 言語教育 / 言語干渉 |
Research Abstract |
EU機構は、全参加国言語平等使用を原則としているが、翻訳書類作成・会議通訳等における実施は容易でない。ネット検索によるEU機構とEU会議の言語使用状況調査、および主として独語・仏語圏における現状実態調査をふまえ、人事・経費に関わる諸問題もさることながら、各国・各地域の言語意識が重要な要因を形成すると確認し、言語意識のなかでも「大言語」に対抗する小言語の文化アイデンティティを、多言語主義を支える公的思想、言語使用にあらわれる言語意識、「言語」をめぐる摩擦と文化アイデンティティの関係、EU諸国の自国語・外国語教育、共有伝統文化の受容形態の観点から分析考察した。 平成17年、18年の調査研究をもとに、独語・仏語・西洋古典言語と各言語に基づく地域文化の異同、相互関係、相互干渉が、研究分担者の研究領域における具体的事項の綿密な検討により、言語学的論考はもとより、思想的・歴史的・社会的・文化的考察を経て明確にされた。 特に18世紀後半の独語・仏語と「ナショナリズム」との関係、ギリシア・ローマ文化の共有的継承と近代文学への反映、汎ヨーロッパ的に受容される芸術文化、20世紀前半から大戦後にかけてのドイツ思想と米文化の影響、言語の相違を越えた情報発信としての百科全書に関する成果があげられる。 さらに、本年度は一橋大学所属のドイツ人日本学研究者の参加を得て、日本語文献の独語圏への紹介状況および日本における西洋言語意識と教育に関する西洋的視点からの報告考察が加えられたことは、本研究を日欧比較さらに日欧関係検討へと発展させる展望を提示した。 三年間の研究成果をまとめ、報告書「EUにおける言語問題と言語文化」を作成したが、本研究に基づく、あるいは本研究から派生した報告と研究論文の発表準備がすすんでおり次年度以降も学会・紀要等に発表される。
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Research Products
(7 results)