2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・スハルト期インドネシアにおける華人社会の変容の研究
Project/Area Number |
17510205
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
貞好 康志 Kobe University, 大学院・国際文化学研究科, 准教授 (20314453)
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Keywords | ポスト・スハルト期 / インドネシア / 華人 / 社会文化変容 |
Research Abstract |
最終年度ゆえに海外調査は行わず、日本で論文執筆、これまでの収集データの分析、およぴ成果報告書の執筆に専念した。 I.論文は次真(裏面)に記す1篇である。直接にはスハルト体制期を対象としたが、ポスト・スハルト期のインドネシアや華人社会の動向とその意味を理解する上で、それらの前提となる同体制期のより深い考察が必須だと判断したためである。 II.4年間に収集した膨大な文献資料およぴ現地調査で得たデータの分析と成果報告書のとりまとめは本日2009年2月5日現在、なお完成途上だが、主要な論点の見通しは下記の通りである。 1)「同化主義」の華人政策を少なくとも表向き採用したスハルト体制期への反動と、ポスト・スハルト期のいわゆる民主化や言論の自由化、基本的人権や諸民族・地域集団の文化的権利の尊重(回復)の〓運の高まる中、他のイドネシア国民と同等に、という忰組みで、華人の文化的権利の復興運動が首都でも地方でも高まった。 2)スハルト体制崩壊直後に、「改革」を謳う政党が〓生する中、華人を中心とした政党も幾つか出硯した。しかし、2度の総選挙を経て、当の華人有権者がこれらの「華人政党」ではなく、エスニックな出自を問わない全国的な有力政党に票を投じる傾向がはっきりした。華人の組識としては、政治への直接的な参加を目的としない文化・社会団体の方が発展した(代表例はINTIとPSMTI)。ただし、一般政党のメンバーとして、華人が地方の議員や首長、中央においても議員や閣僚になることはさほど珍しいことではなくなった。 3)華人社会の様相は、首那と地方、地方の中でも今回調査を行なった中部ジャワとリアウ島〓部でかなり異なる。華人団体や学校組織・出版活動の動向、年中行事の開催などを柱とするそれらの詳細については、最終成果報告書に譲りたい。
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