2008 Fiscal Year Annual Research Report
女性の身体をめぐる政策形成過程・政策推進過程の研究-暴力の防止に関する政策を対象として-
Project/Area Number |
17510229
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
中山 まき子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 現代社会学部, 教授 (90253236)
|
Keywords | ジェンダー / 身体 / 政策形成と推進 / 暴力 |
Research Abstract |
日本の暴力防止に関わる政策(DV防止法等)の推進はアジア諸国内で立法化(2001年)が遅れ2度にわたる改正を経て、2008年1月施行のDV防止法では市町村に計画策定と支援センター設置を「努力義務」とし「公表」を義務づけた。本年はこの改正を視野に入れ政策推進過程を分析した。1年を経て計画を策定した市町村は3市(野田・国分寺・松江)、相談支援センター設置が確認できる市町村は8市である。また、すでに基本計画を有する都道府県レベルでも「相談支援センター」窓口の数は北海道・千葉県が16カ所、福岡県14カ所、岩手県12カ所と4自治体だけが二桁を越える。20自治体は(茨城県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、石川県、徳島県、香川県、高知県、他)は一カ所のみで、政策推進の自治体間格差は極めて大きい。同センターを16カ所配する「A自治体」と1カ所の「B自治体」との事例分析からは次の違いが抽出された。1)行政部署に専門担当者を配しているか否か。2)部署の年間予算・執行結果が「積極的に公表」されているか否か、3)事業の実施・進捗状況を部署が複数年にわたり比較・検討し改善しているか否か、4)事業を評価する専門部会/外部委員等を要綱に定め配し、評価が公開されているか否か、5)行政が諸関係機関の連携を具体的に進め定期的に問題が議論されているか否か。6)諸機関を対象に「被害者の視点」に立脚した具体的「対応マニュアル」が作成され遍く配布されているか否か、など。すなわち「計画策定・審議会による熱心な審議」だけでなく、行政の「透明性、事業に対する第三者を組み込んだ実ある省察と改善行動」が本政策を推進させる鍵になっていると言えよう。なお、分析は未だ途上であるが、首長の政策遂行意欲との関わりが大きい。
|
Research Products
(2 results)