2007 Fiscal Year Annual Research Report
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17510231
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Research Institution | Tezukayama Gakuin University |
Principal Investigator |
室住 眞麻子 Tezukayama Gakuin University, 人間文化学部, 教授 (00249442)
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Keywords | 高齢者世帯の所得構造 / 「就業プラス公的年金型」所得構造 / 「公的年金重点型」所得構造 / 相対的貧困率の7カ国比較 / 日本の高齢単身女性の相対的貧困率 |
Research Abstract |
本研究では、老後生活費を支える高齢者の所得実態について、日本のデータと6カ国のデータを比較検討した。日本のデータは、一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターから提供を受けた秘匿処理済ミクロデータの「全国消費実態調査」であり、6カ国のデータはルクセンブルク所得研究所に集積されたドイツ、イタリア、イギリス、デンマーク、アメリカ、台湾のデータである。日本の比較対象国としてこれらの国々を選択したのは、地域的観点、世帯類型的観点、年金制度の観点など複数の理出からである。分析は、ジェンダー視点を重視し、結果表は全てジェンダー別に表示した。分析項目は以下のようである。(1)高齢者が生活している世帯類型(単身、夫婦、有配偶の子どもと同居、配偶者なしの子どもと同居、その他)について。日本の男女高齢者世帯類型の変化について。(2)高齢者を非貧困層と非貧困層に分け、それぞれの所得構造および日本の男女高齢者の所得構造の変化について。(3)先進国および国際機関で採用されている所得の貧困概念(中位等価所得の2分の1以下)による相対的貧困率の推計などである。以下では(2)と(3)の結果の概要について述べる。 (1)台湾を除く6カ国の非貧困・高齢単身および高齢夫婦世帯の所得源泉は複数あり、中心的な所得の組み合わせによって4つのパターンに分類される。他方、台湾を除く貧困層の高齢者世帯の場合は総所得の8-9割が社会保険(公的年金)給付が占めている。(2)日本の非貧困・高齢単身および高齢夫婦世帯の所得構造は、1989年から2004年の15年間でアメリカの「就業プラス公的年金型」からドイツやイタリアの「公的年金重点型」に変化した。ただし、男性と比較して日本の非貧困・高齢単身女性の場合、市場所得比率が高い。このことは、日本の高齢女性にあっては非貧困な生活を維持するには男性よりも就業が欠かせないことを示唆している。(3)先に述べたように、現在日本の非貧困高齢者の所得構造と貧困な高齢者層は共通して、公的年金給付に重点をおく所得構造にある。(4)日本の高齢者全体の相対的貧困率は14.5%で、高齢者の7人のうち1人は相対的貧困状況にある。この比率は7カ国の中で4番目に位置している。日本の高齢単身女性の相対的貧困率は36.7%で、台湾(62.6%)、アメリカ(45.7%)に次ぐ高さであることがわかった。
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Research Products
(2 results)