2005 Fiscal Year Annual Research Report
哲学の古典的素型とその変容-ヘレニズム的なるものへの新視座を求めて
Project/Area Number |
17520011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 勝利 京都大学, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (80098102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 正志 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (60192671)
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Keywords | ギリシア哲学 / ガレノス / プラトン / アリストテレス / イメージ / イマジネイション / 心的言語 |
Research Abstract |
本年度は、主として内山と中畑がそれぞれの分担課題の研究を独自に進め、内山が初期ギリシア哲学及び医学思想を中心に哲学の素型の明確化に努めるとともに、中畑がそうした素型的思考の変容のプロセスをいくつかの概念に即して解明した。具体的には、内山は木原志乃とともに、ガレノスの『ヒッポクラテスとプラトンの学説』の邦訳と註解を完成し京大出版会から刊行した。これは古代医学史ばかりでなく、初期思想からヘレニズム哲学に至るまでの思想史を理解するためにもきわめて重要な文献であり、今後の研究の重要な基礎資料となるであろう。また論文「愛知の言語」において、初期ギリシア思想家からプラトンにいたるまでの著作を、その表現形式に注目しながらたどることを試みた。 中畑は古代ギリシアに発するいくつかの基礎概念について研究を進めてきたが、なかでもイメージとイマジネイションの関係について、一見自明とも思われるその関係が、実際には古代から中世初期に至るまでいくつかの哲学的思考を経て歴史的に構築されたものであることを解明し、とりわけアウグスティヌスの果たした重要な役割を明らかにした。また「心的言語」という中世哲学において顕在化する観念について、それがアリストテレス哲学の独特の解釈にも由来することを示しながら、オッカムにおけるある変容とそれがもつ哲学的な意味の可能性を考察した。 さらに両者は、相互の研究の結節点となるアリストテレスについて、基礎概念の内容の解明および適切な邦語訳の可能性をめぐって数度の打ち合わせをおこない、いくつかの基本的な問題を確認した。
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Research Products
(6 results)