2007 Fiscal Year Annual Research Report
芸術論・真理論・存在論-メルロ=ポンティを手がかりに
Project/Area Number |
17520018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
圓谷 裕二 Kyushu University, 人文科学研究院, 教授 (60227460)
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Keywords | メルロ=ポンティ / 知覚 / 存在論 / 真理論 / 芸術論 / パースペクティヴ主義 / 基礎づけ主義 / 絵画論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、存在論と真理論と芸術論の関係という、従来はあまり注目されることのなかったテーマを研究の主題に据えながら、メルロ=ポンティにおける芸術論、特に絵画論と文学論が、彼の哲学そのものとどのように深く関わっているかを解明することである。 この研究は、現象学的な方法に従ってなされたが、それによって、現代における科学論や認識論が拠って立つ基盤を暴き出し、現代における自然観や世界観に新たな一石を投じるものである。 平成19年度の研究実績は、平成17年度、18年度における研究を踏まえながら、それをさらに発展させたものである。すなわち、17、18年度においては、晩年のメルロ=ポンティにおける存在論と真理論に焦点を絞りながら研究を進めてきたが、19年度においては、その研究をさらに発展させ、存在論と真理論が、彼の芸術論とどのような内的連関にあるのかについて解明する。 そのために、第一に、彼の芸術論の骨各を形づくっている三つの論文、つまり、前期の「セザンヌの懐疑」、中期の「間接的言語と沈黙の声」、そして後期の「眼と精神」についてそれらを比較検討することによって、彼の芸術論の核心を明確した。そしてその研究を支としながら、第二に、彼の芸術論が単なる絵画論でも文学論でもなく、芸術論の根底に存在論や身体論や真理論を見届けようとするものであることを論証する。こうして、第三に、彼の前期の主著『知覚の現象学』から晩年の遺稿『見えるものと見えないもの』に至るメルロ=ポンティ哲学の全体において、彼の真理論や存在論の特徴をデカルトやカントの基礎づけ主義とは異なるパースペクティヴ主義のうちに見届け、この観点から彼の真理論や芸術の基本的特徴を浮き彫りにする。 この研究実績は、「研究成果報告書」において報告する予定である。
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