2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520032
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 康文 Ishikawa National College of Technology, 一般教育科, 教授 (50302336)
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Keywords | 哲学 / 倫理 / 思想史 / 現象学 |
Research Abstract |
フッサールに関しては、現在彼の著作集が刊行中ではあるが、本テーマに関する遺稿は、なお刊行されていない。そのため、彼の身体論、特に彼の晩年の身体論に関する到達点を確認し、またその志向を見定めるには、遺稿の確認が必須といえる。その資料収集のため、ドイツケルン大学にあるフッサール・アルヒーフに約一月滞在した(なお個人の寄附金をその旅費の一部に充てた)。 その期間、彼の身体論の中心概念である「キネステーゼ(運動感覚)」が、最晩年においてどのように展開し、また自己批判されたかを確認した。それとともに、キネステーゼとヒュレー(感覚与件)とがいかに関わり、またいかに相互制約をしているのか、さらにその事象がいかに自我を触発するのかを分析した。そこから衝動とキネステーゼとの連関に関しても調査を進めた。また諸感覚のなかで、視覚と触覚とがどのように連関して機能するのか、それによって相互の感覚がいかに制約を受けているのかといった課題に関して、フッサールがいかに格闘し、さまざまにアプローチしているかを確認した。 また身体とその環境に関して考察するため、フッサールにおける生活世界の問題群にも取組み、またそこから今日的な環境問題を考察する手がかりを得た。
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