2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520032
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 康文 Ishikawa National College of Technology, 一般教育科, 教授 (50302336)
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Keywords | 哲学 / 倫理 / 西洋思想史 / 現象学 / 身体論 |
Research Abstract |
過去3年間と同様今年度もケルン大学フッサール文庫で、フッサールの身体論を中心に生活世界論を含めて、彼の未公開遺稿の確認および資料収集にあたった(なお個人の寄附金をその旅費滞在費の一部に充てた)。 現在彼の著作集は刊行中であり、彼の手がけたさまざまな分野に関してなお未刊行の部分が多い。身体論もそのようなテーマのひとつであり、本研究の遂行のためにも未公開遺稿の確認が必要と考えている。 本年度は特に身体がいかに機能として同一性と差異性を発揮しているのかという問題に取り組んだ。つまり五官の機能が異質でありながらしかも同一身体の機能としてどのようにして同一性を維持しているのかといった問題に関して資料を収集した(いわゆる共感覚の問題に関わる)。この際、フッサール自身が「器官」という概念を多義的に用いていることから、特に自然的な概念としての「器官」概念と超越論的な概念としての「器官」概念を区分し、あくまでも後者の概念からフッサールはどのような事象を開示させていったのかを、「領野」や「世界」との関連から捉え直すことを試みた また身体自身が自分で自分の身体の一部に触るという自己接触現象をフッサールはどのように捉えていたのかさまざまな資料にあたり、この事象に関してフッサールの初期から晩年に至る変遷をたどった。 さらに身体と生活世界との相互制約に関しての議論にかんしても資料を収集し、そこで環境と身体に関する今日的な課題を考察する手がかりを得た。
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