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2006 Fiscal Year Annual Research Report

懐徳堂学派の朱子学の研究-中井履軒の四書注釈を中心として-

Research Project

Project/Area Number 17520041
Research InstitutionNara National College of Technology

Principal Investigator

藤居 岳人  奈良工業高等専門学校, 一般教科, 助教授 (80228949)

Keywords懐徳堂 / 中井履軒 / 朱子学
Research Abstract

本年度は、中井履軒の『論語逢原』『孟子逢原』『中庸逢原』の検討を通して、彼の聖人観の分析を行なった。『論語逢原』に見える聖人像は、理想的統治者としての性格、理想的人格者としての性格を併せもつものであった。検討の結果、『孟子逢原』『中庸逢原』における聖人像も『論語逢原』と同様の聖人像が描かれていることが明らかになった。
ただ、履軒の聖人像は、中国の朱子学の聖人像の影響を大きく受けていることは確かだが、実際のところ、彼以前の伊藤仁斎・荻生祖徠の思想からの影響も無視することはできない。そこで、仁斎・祖徠の思想を検討して、日本近世儒教思想史における履軒の聖人観の位置づけを検討することにした。
まず、仁斎・祖徠・履軒の聖人観を比較検討したところ、仁斎・履軒が似た立場にあり、祖徠のみがやや異質な聖人観を保持していることが明らかとなった。すなわち、仁斎・履軒は、理想的人格者としての聖人観をもっており、これは朱子学の立場と共通する。それに対して、祖徠は、礼楽制度の制作者としての聖人観を強調しており、朱子学的聖人観とはやや相違している。この結果は、同じ古学派に分類されると言っても、仁斎と祖徠との間に大きな立場の相違があることを示唆している。むしろ仁斎から履軒、そして、後期朱子学へ続く思想史の流れが看取できる。
以上のような思想史の流れを裏づけるために、次に性善説を題材として、仁斎・祖徠・履軒の立場を比較検討することとした。その結果、聖人観と同様に仁斎・履軒が似た立場にあり、祖徠のみがやや異質な立場にあることが明らかとなった。すなわち、仁斎・履軒は、朱子学と同じく、基本的に性善説の立場を保持している。それに対して、祖徠は、性善説を否定することはないけれど、必ずしも性善説のみにとらわれる立場ではない。従って、性善説の検討を通しても、仁斎から履軒、そして、後期朱子学へ続く思想史の流れを窺うことができた。

  • Research Products

    (2 results)

All 2007 2006

All Journal Article (2 results)

  • [Journal Article] 中井履軒の性論-伊藤仁斎・荻生徂徠の所説と比較して-2007

    • Author(s)
      藤居岳人
    • Journal Title

      懐徳堂センター報2007

      Pages: 15-30

  • [Journal Article] 中井履軒の「権」の思想2006

    • Author(s)
      藤居岳人
    • Journal Title

      『中国学の十字路-加地伸行先生古稀記念論集-』(研文出版)

      Pages: 659-673

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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