2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520049
|
Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮井 里佳 埼玉工業大学, 人間社会学部, 助教授 (80290998)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
本井 牧子 大谷大学, 文学部, 任期制助手 (00410978)
|
Keywords | 金蔵論 / 衆経要集 / 法苑珠林 / 仏教類書 / 敦煌写本 / 今昔物語集 / 中国北朝仏教 |
Research Abstract |
中国北朝後半期の道紀撰『金蔵論』は、近年まで日本伝存写本の存在しか知られていなかったが、昨年度我々は新たに敦煌写本中の『金蔵論』諸本を数点見出し、調査研究を進めてきた。今年度、北京1322、北京8407および北京大学D156の調査を行ない(2006年5月に中国国家図書館にて調査他)、北京1322・俄Дx00977・北京大学D156が一連の写本であることを確認し<敦煌本Aと称す>、この翻刻を公刊した。さらに、敦煌本Aおよび北京8407<敦煙本B>、スタイン3962<敦煌本C>、スタイン4654<敦煌本D>(スタイン本は昨年度調査済)の書誌や内容を検討し、これらと興福寺蔵日本霊異記紙背書写の巻六とによって、『金蔵論』巻5,6のほぼ全容が解明できることを論じた(宮井・本井論考)。 また、興福寺蔵日本霊異記(国宝)紙背書写の「金蔵要集論」巻六の調査を行ない(2006年11月)、押界の存在から、本来『金蔵論』書写面が表であったことを確認した。この際に判明した朱点などを取り入れた翻刻を作成するとともに、『日本霊異記』との関係を考察中である。また、大谷大学蔵(法隆寺旧蔵)長承三(1134)年奥書写本「衆経要集金蔵論」巻一・巻二合本の調査を行ない(2007年3月)、朱や墨で付されている訓点を確認し、現在調査研究を進めている。これらの成果は、従前作成してきた訳注に加えて公刊する予定である。ただし巻二は、形式および本文系統を考察すると、巻一や巻五、六とは異質であることから、元来の『金蔵論』ではない可能性がある(本井論考)ことを考慮している。
|
Research Products
(12 results)