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2007 Fiscal Year Annual Research Report

ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの宗教思想研究-ヴィジョンとその図像を中心に-

Research Project

Project/Area Number 17520054
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

細田 あや子  Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00323949)

Keywordsヴィジョン / 宇宙論 / 異界論 / 新プラトン主義 / 不可視なるものの表象
Research Abstract

本研究においては、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの著作のテクスト分析および図像解釈をし、ヒルデガルトの宗教思想を考察してきた。ヒルデガルトの宗教思想をみるにあたって、とくに彼女のみたヴィジョン(幻視)に注目して検討を加えてきた。
本年度は三ヵ年の研究のまとめとして、ヒルデガルトのヴィジョンに関し、テクストとその視覚化の関係をより明確にして宗教思想、宗教美術という側面からの考察を深め、いくつか特徴あるテーマ、たとえばヴィルトゥテスという概念や自然観などを分析した。さらに、三位一体というキリスト教教義についても、ヒルデガルト独自の見解が認められることが理解された。父、子、聖霊という三つのペルソナを図像化する場合、ヒルデガルトの『スキヴィアス』(II,2)では、二層に分けられた円の中央に子であるキリストが立っている。キリストのみが具体的に人物像として描かれているのに対し、なぜ父なる神は円という幾何学的表現になっているのかということが、ヒルデガルトのヴィジョンにとって特徴的な点である。このような描写の背後には、ヒルデガルトの神観、また宇宙観、そしてジェンダー観などが影響していると考えられる。この宇宙を創造した神は、男性というひとつの性に限定されるようには考えられておらず、性差を超えた創造主としてとらえられている。具象的な描写よりも、円や他のヴィジョンにもみられる四角形などの幾何学的な抽象的図像および象徴的意味が込められた多様な色彩を通して、キリスト教教義とそれをふまえそれを包括するようなヒルデガルト独自の宗教思想に基づき、このようなヴィジョンになっていると考えられる。ヒルデガルトはキリスト教という枠組みの中に生活しつつも、それを超え、被造物と自然との調和ある世界を求めていたことが明らかとなる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2008 2007

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] マール・ムーサー・アル・ババシー修道院の「最後の審判」図像2008

    • Author(s)
      細田あや子
    • Journal Title

      比較宗教思想研究 8

      Pages: 45-85

  • [Journal Article] マグダラのマリアのイメージの多様性2008

    • Author(s)
      細田あや子
    • Journal Title

      キリスト教文化研究所研究年報 42

      Pages: 73-84

  • [Presentation] マグダラのマリアの多様なイメージ2007

    • Author(s)
      細田あや子
    • Organizer
      日本宗教学会
    • Place of Presentation
      立正大学
    • Year and Date
      2007-09-17
  • [Book] 神話と現代2007

    • Author(s)
      松村一男・山中弘編、細田あや子他
    • Total Pages
      460
    • Publisher
      リトン

URL: 

Published: 2010-02-04   Modified: 2016-04-21  

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