2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520056
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岩田 文昭 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00263351)
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Keywords | 宗教教育 / 道徳 / 聖俗分離 / 畏敬の念 / いのち教育 / 高坂正顕 / 西田幾多郎 |
Research Abstract |
本年度は、第一に、昨年度収集した公立の小中学校で現在用いられている道徳の副教材の分析に努め、そこの中で屈折して表現されている「宗教性」に関する考察を深めた。第二に、道徳教育の根拠に関わる原理的問題を1966年の中央教育審議会答申の別記「期待される人間像」に遡り、その執筆の中心になった高坂正顕の思想を考察するとともに、高坂が提唱している「畏敬の念」の思想の背景に存在している西田幾多郎の哲学を探究した。西田に関する研究は、「いのち教育への批判的論点-西田の生命論を手がかりに-」という題目で西田哲学会第四回年次大会発表し、さらに日本宗教学会第65回学術大会で「京都学派の宗教哲学と宗教思想」として発表をした。第三に、現場での道徳教育の調査として、大阪教育大学附属平野小学校梶原博教諭の協力を仰ぎ、道徳教育の課題を調査するとともに、東海大学近藤卓教授主催の研究会「子どもといのちの教育研究会」に参加し、調査を行った。これらの成果の一部は、大正大学80周年創立記念国際学術シンポジウム「いのちと宗教」の教育を考える、において発表した。第四に、カール・ベッカー京都大学教授と協力し、合衆国の遺児ケアの問題に取り組んでいるナギーセンターのシュルマン先生の講演会を企画し、ペアカウンセリングの意義について議論を深めた。このような成果の一つのまとめとして、論文「道徳教育における<宗教性>」(『現代宗教2007』平成19年5月刊行予定掲載)を執筆した。
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