2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山崎 亮 島根大学, 教育学部, 教授 (40191275)
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Keywords | 社会学年報学派 / デュルケーム / ユベールとモース / 宗教学 / 供儀 / トーテミスム / 『社会学年報』 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランス社会学年報学派による宗教研究のあり方を検証し、宗教学の視点からその意義を再検討することを目的としている。本年度はまず、『社会学年報』全12巻の宗教社会学セクションの項目の変遷を詳細に検討し、さらにユベールとモース,デュルケームによる関連文献を渉猟しつつ、宗教的表象=信念と宗教的実践=儀礼、社会組織、並びにそれらを包摂する全体的な宗教体系の概念という、4つのカテゴリーが、1904年頃から、社会学年報学派に共有される宗教研究の枠組みとして定着していく過程を解明した。この作業の成果の一端は、「社会学年報学派の宗教学思想・序説」と題して印度学宗教学会第49回学術大会(於大正大、2006.6.10)において口頭で発表し、さらに社会的背景の問題をも視野に収めながらその内容を拡充・深化させて論文「社会学年報学派の宗教学思想・序説-『社会学年報』宗教社会学セクションの構成を中心に」(『島根大学教育学部紀要』40、2006.12、pp.92-108)として公表している。この基礎的な作業をふまえて、ユベールとモースによる1899年の論文「供犠の本質と機能に関する試論(Essai sur la nature et la fonction du sacrifice)」の生成過程を、モース宛のデュルケームの書簡なども参照しながら検討した。その結果、ユベールとモースの実質上の処女作であるこの論文には、供犠をとらえる基本的な視角などをめぐって、デュルケームによるかなり積極的な関与が存在することが明らかとなった。その成果の一端は、「ユベール・モース供犠論の生成」と題して目本宗教学会第65回学術大会(於東北大、2006.9.18)にて、口頭で発表した。とりわけ、社会学年報学派に共有された宗教研究の枠組みの析出は、内外に例を見ない独創的な研究成果と言い得る。
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