2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520057
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山崎 亮 Shimane University, 教育学部, 教授 (40191275)
|
Keywords | 宗教学 / 社会学年報学派 / 『社会学年報』 / デュルケーム / ユベール / モース / 供犠 / トーテミズム |
Research Abstract |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランス社会学年報学派による宗教研究のあり方を検証し、宗教学の視点からその意義を再検討することを目的としている。 本年度は、前年度の作業の継続として、『社会学年報』の宗教社会学セクションのanalyseの内容を継時的に分析するとともに、ユベールとモースの共著Essai sur la nature et la function du sacrifice(1899)の形成過程と、そこにおけるデュルケームの影響を検討した。さらに12月初旬には、フランス・ノルマンディー地方のCaen市近郊に位置するIMEC(l' Institute Memoires de l' edition contemporaine)に赴き、そこに保管されているFonds Mauss(モース文庫=長らくコレージュ・ド・フランスに保管されていたマルセル・モース関連の一次資料)の予備調査を行なった。その結果、膨大な量に上る論文草稿、ゲラ刷り、ノート、書簡等が所蔵されていることを確認し、その一部に関して分析を試みている。 社会学年報学派の活動の時代的背景に関しては、Frederico RosaのL'age d'or du totemisme(2003)やRobert Alan JohnesのThe Secret of Totem:Religion and Society from Mc lennan to Freud(2005)等を参照点として分析を進めていたが、昨年11月、Marcel Fournierによって、デュルケームに関する浩瀚で画期的な評伝Emile Durkheim(1858-1917)が刊行され、その一部について集約的な検討を試みている。 これらの作業と並行して、社会学年報学派の周辺に位置するレヴィ・ブリュルの著作、とりわけ、1910年刊行の『未開社会の思惟』を集約的に検討し、社会学年報学派による影響ならびに彼自身の独自の宗教研究の意義を探っている。またデュルケーム並びに社会学年報学派の宗教研究を日本に最初に紹介した古野清人の業績の再検討も試みている。それらの成果の一端は、『宗教学文献事典』の「レヴィ・ブリュル『未開社会の思惟』」、「古野清人『古野清人著作集』」の項目において発表した。
|