2005 Fiscal Year Annual Research Report
起請文を素材とする思想史研究の新たな領域と方法の開拓
Project/Area Number |
17520066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 弘夫 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30125570)
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Keywords | 起請文 / コスモロジー / 神仏 / 神判 / 罰 |
Research Abstract |
[資料の収集と整理] 1,「平安遺文」「鎌倉遺文」といった活字化された文献を中心に、現存する起請文を網羅的に収集することをめざした。また、そこに勧請された神仏名をリストアップし、そのデータベースを作成した。また起請文に関する史料とその分析に必要な参考文献・図書を収集した。 2,研究の鍵となる重要な起請文については、金沢文庫・中山法華経寺・東京大学史料編纂所・東大寺・高野山などに赴き、実物についての実地調査を行って写真撮影を行うとともに、起請文を生み出した歴史的・文化的背景に関わる調査を行った。 3,起請文についてのこれまでの研究文献を網羅的に収集することを試み、それを踏まえた研究史の整理を行った。 4,起請文を史料として思想分析を行う前提として、国内外の思想史の方法に関する文献を収集した。 [分析と考察] 収集した起請文について、その分析とコスモロジーの解明を試みた。 起請文は中世文書の代表とされるが、ある事柄を神仏に誓約する形式は既に『日本書紀』にみられるものである。また起請文を、古代アジアを中心に広く行われた神判の系譜に位置づける中田薫らの研究も存在する。さらに、起請文の形式をもった文書は、少ないながらも江戸時代に入っても作成され続ける。そうした事実や指摘を踏まえて、日本中世の起請文の特質を広い視野の中で検討し、起請文に登場する仏が特定寺院の仏像に限定されるなど、従来看過されてきたさまざまな新知見を得ることができた。 [研究成果] 以下に掲げる論文などの他に、平成18年4月には著書『起請文の精神史』(講談社)が刊行される予定である。
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Research Products
(6 results)