2005 Fiscal Year Annual Research Report
レンブラントと17世紀オランダ美術における女性表現に関する研究
Project/Area Number |
17520076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾崎 彰宏 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80160844)
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Keywords | 女性表現 / レンブラント / オランダ / フェルメール / メランコリー / ヤン・ステーン |
Research Abstract |
宗教世界を脱し日常を礼賛する近代世界へと至る17世紀ヨーロッパにあって、シャルダンなど18世紀フランス美術に見られる多様な女性表現を準備したのがオランダ美術である。この中にあってレンブラントは独自の女性表現を生みだした画家である。レンブラントは、妻をモデルに一見何の変哲もない日常生活の一コマを描いたようでいて、じつはそこに「メランコリー」というような、古代ギリシア以来よく知られた意味を重ねあわせたりもした。あるいはヌードにおいても、従来の伝統的な表現に追従するのではなく、おのれの目で吟味し、その時代にふさわしいリアルな女性像を描くことに腐心した。 本研究ではそうしたレンブラントの女性表現を画家の内側からみるというよりも、むしろ、中世後期から近代にいたる通時性という歴史的なパースペクティヴの中に位置づけ、さらに、ヤン・ステーンやフェルメールなど同じ17世紀のオランダ画家との共時的な連関関係から捉え直した。 初年度である今年は、オランダを中心とした海外調査によって基礎資料の蒐集をおこない、これまでの研究の不足を補い、資料の充実をはかった。具体的には、17世紀オランダで量産された風俗画、とくに女性が活動する様子の描かれた室内画がどの程度当時の市民階級に購入され、どのように展示されていたのかを検討するために、アムステルダム、レイデン、ハールレム、デン・ハーグなどに遺されている財産目録、売立目録を調査した。くわえてデン・ハーグの王立美術研究所(RKD)に保存蒐集されている、美術作品の写真資料を調査し、視覚資料の蒐集に努めた。さらに、国内でも西洋美術館をはじめとする関連の図書館などで研究文献を調査した。調査はなお十分とはいえず、継続して調査研究を行う。
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Research Products
(1 results)