2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520077
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
守屋 正彦 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90272187)
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Keywords | 日本の儒教絵画 / 江戸時代 / 仏教・禅宗 / 林羅山 / 孔子像 / 湯島聖堂 / 勧戒画 / 聖賢図 |
Research Abstract |
平成19年度は、当該研究の最終年度にあたる。これまで網羅的に集積してきた、近世前期の儒教絵画及び関連の文献資料・先行研究を整理しつつ、その中でも特徴ある主題や作例を取り上げて考察を行い、成果報告集として上梓した。研究の結果、中国から範を学びつつも、それをそのまま典拠として制作を行ったわけではない、わが国独自の造像の過程が明らかとなった。 例えば、仏師によって制作された湯島聖堂大成殿の孔子像は、中国で見られる椅像や立像ではなく胡座の姿形をとっており、台座も本来は僧侶の座である礼盤が用いられている等、明らかに仏像のイメージに倣って案出されている。また、このような仏像のイメージの借用、あるいは図様の改変は、孔子像に限らず帝鑑図や二十四孝図、神農図など他の主題の絵画にも見られ、近世初期の儒教美術が、前代まで文化の主流であった仏教、特に禅宗の影響を色濃く残しながら発展したものであったことが確かめられた。
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