2006 Fiscal Year Annual Research Report
イタリアにおける初期風俗画の成立と伝播に関する総合的研究
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17520081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮下 規久朗 神戸大学, 文学部, 助教授 (30283849)
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Keywords | 風俗画 / カラヴァッジョ / バロック / ミラノ派 / レオナルド |
Research Abstract |
イタリアでは16世紀後半に風俗画(Genre Painting)が登場した。本研究は、まず、16世紀後半に北イタリアの各地でほぼ同時期に登場した風俗画について総合的に調査し、フランドルとの関わりも含めて、なぜその時期にその地域で風俗画、あるいは風俗的な主題が勃興したかについて、次にこうした風俗画が持っていた意味や主題について考察する。初期の風俗画が宗教的・寓意的意味をもっていたことはたしかだが、その度合いや様相について具体的な作品に即して研究する。カラッチやカラヴァッジョの初期風俗画も以上の研究をもとに新たな角度から考察したい。また、16世紀後半のわが国には、「南蛮風俗図」と称される一連の西洋風の風俗画が現存するが、その図像源泉と主題についても、フランドルに発する初期風俗画の図像伝播という観点から探りたい。 本年度は、フランドルの風俗画とイタリア美術との関係について調査し、その意味的連関と相違について考察した。その一端を含め、広く西洋美術全体における「食」の主題の意味と機能について考察し、著書『食べる西洋美術史』にまとめた。また、ロンバルディア地方における風俗画の発生について、レオナルド・ダ・ヴィンチの影響という観点から考察し、カラヴァッジョにいたるその鉱脈について、共著『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』に披瀝した。
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