2008 Fiscal Year Annual Research Report
イタリアにおける初期風俗画の成立と伝播に関する総合的研究
Project/Area Number |
17520081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮下 規久朗 Kobe University, 人文学研究科, 准教授 (30283849)
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Keywords | 風俗画 / 静物画 / カラヴァッジョ / 南蛮美術 |
Research Abstract |
イタリアでは16世紀後半に風俗画(Genre Painting)が登場した。本研究は、まず、16世紀後半に北イタリアの各地でほぼ同時期に登場した風俗画について総合的に調査し、フランドルとの関わりも含めて、なぜその時期にその地域で風俗画、あるいは風俗的な主題が勃興したかについて、次にこうした風俗画が持っていた意味や主題について考察する。初期の風俗画が宗教的・寓意的意味をもっていたことはたしかだが、その度合いや様相について具体的な作品に即して研究する。カラッチやカラヴァッジョの初期風俗画も以上の研究をもとに新たな角度から考察したい。また、16世紀後半のわが国には、「南蛮風俗図」と称される一連の西洋風の風俗画が現存するが、その図像源泉と主題についても、フランドルに発する初期風俗画の図像伝播という観点から探るものである。 本年度はひきつづき調査を重ね、カラヴァッジョの少年像の意味やロンバルディにおけるその伝統ヤフランドル風俗画の流入との関係について調査した。その一端を、シンポジウム「靜物画の世界」(美術史学会・兵庫県立美術館主催)で「カラヴァッジョとイタリア静物画の発生」と題して発表した。また、西洋から日本に流入した図像の世俗化と変容に関して、裸体画に焦点を当てて研究・調査し、その成果を著書にまとめた。
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