2008 Fiscal Year Annual Research Report
北陸における説話画の研究-その機能と展示の変遷および現代に生きる意味-
Project/Area Number |
17520084
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
原口 志津子 Toyama Prefectural University, 工学部, 教授 (40208666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 昌子 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00285173)
山崎 剛 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (70210391)
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Keywords | 展示 / コレクション / 宝物 / 絵解き / 勧進 / 説話イメージ |
Research Abstract |
本科研においては、4カ年の研究期間のうち、3カ年を主に北陸における寺社所蔵書画美術工芸品の実地調査・写真撮影にあて、その調査報告書を作成してきた。本年度は最終年度にあたるため、実地調査・写真撮影は行わず、既調査分を検討し、研究を深化させることを主眼とした。その成果として、北陸の説話画のうち、とりわけ浩潮な富山市八尾町本法寺蔵「法華経曼茶羅」二十二幅の描き起こし図が得られた。描き起こし図作成にあたった日本画家・石崎誠和には、その作成手順と、作成過程から得られた知見をレポートしてもらった。描き起こし図作成は、本法寺本がどのような過程を経て作成されたのか、そしてまた見る者にどのように体験されたのかというという、いわば「絵の現場」を追体験することにほかならず、描き起こし図とともに得難いレポートが作成された。その成果は、報告書図版編として印刷された。また、金沢美術工芸大学教授・太田昌子が「法隆寺の聖徳太子絵伝を読み解く-絵の描かれた『宗教環境の総体』をテキストとして」(平成20年度研究成果参照)において提唱した空間細胞(cell)の概念は、複雑な記号内容をもつ説話画の読み取りにきわめて有効である。太田は、本法寺本の空間細胞配置図を作成し、その空間構造を正確に把握した。富山県立大学教授・原口志津子は、この概念を得て、本法寺本の記号内容の理解を深め、既刊の歴史的意義および伝来解明の論文を改訂して刊行する予定である。
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Research Products
(6 results)