2007 Fiscal Year Annual Research Report
イタリア・ルネサンスにおける古代異教的慣習の残存をめぐる歴史人類学的研究
Project/Area Number |
17520096
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Research Institution | Kyoto University of Art and Design |
Principal Investigator |
水野 千依 Kyoto University of Art and Design, 芸術学部, 准教授 (40330055)
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Keywords | 美術史 / 歴史人類学 / イタリア・ルネサンス / 奉納像 / 予言文化 / 終末論 / 葬祭儀礼 / 奇 |
Research Abstract |
本研究は、ルネサンスのイメージ文化における古代異教的要素の残存を、終末論的予言や奇蹟のイメージ、葬祭儀礼における肖像、そして奉納像という三つの事例に即して、歴史人類学的に考察することを目的としている。 今年度は、とくに十五世紀末から十六世紀初頭にイタリアをはじめヨーロッパ各地に広まった予言のいくっかの側面に注目し、一冊の著書にまとめるべく執筆を進めた。とくに、予言的「徴候」として解読された「怪物」の図像、田園に出没する「聖母」の幻視、そして十六世紀末に断片的に予言文化が再燃する事例として、ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂モザイクに隠されたフィオーレのヨアキム他の予言とその解釈について、研究・執筆を進めた。この成果は、平成20年度に著作および論文にまとめる予定である。 さらに今年度は、キリストのイメージを歴史人類学的に研究している点で、本研究とも密接に関わるゲアハルト・ヴォルフ氏(フィレンツェ、ドイツ美術史研究所所長)の以下の二論文、およびアントニオ・ナターリ氏(ウフィツィ美術館館長)の論文の翻訳も形にした。 ・ゲアハルト・ヴォルフ「聖遺物、聖像、聖地-キリスト教文化における生者と死者、天と地のコンタクト・ゾーン」(『文化交流研究』東京大学文学部次世代人文学開発センター研究紀要、第20号、2007年、pp.61-94.) ・ ゲアハルト・ヴォルフ「真のイメージービザンティウムから西方までのキリストの顔」(『AUBE-比較藝術学』淡交社、2008年、pp.90-115。) ・ アントニオ・ナターリ「レオナルドの時代のヴェロッキオ工房におけるペルジーノーレオナルドの《受胎告知》を中心に-」(『文化交流研究』東京大学文学部次世代人文学開発センター研究紀要、第21号、2008年、pp.69-94.)
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Research Products
(4 results)