2006 Fiscal Year Annual Research Report
浮世絵師・勝川春章の絵画作品総目録化と、款印に基づく考証研究
Project/Area Number |
17520103
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Research Institution | IDEMITSU MUSEUM OF ARTS |
Principal Investigator |
内藤 正人 (財)出光美術館, 学芸課, 主任学芸員 (80392885)
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Keywords | 美術史 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、江戸時代後期の浮世絵師・勝川春章が遺した絵画作品の総目録作成作業の締めくくりとして、2006年度は東北・関西方面に出張、作品調査を実施した。内容は昨年同様で、巾請時に報告し、その後学位論文別冊とした総作品目録の土台となる基礎資料では未確認だった作品の発掘・発見が主眼となっている。具体的には所蔵者の協力を得て、撮影による作品の全図・部分図写真の収集、そして実測による法量データの収集、その他様式・形式等の所見記録の蓄積を鋭意おこなった。調査で得られた三件の記録は、調査旅行後ただちにPCデータとして簡易整理を実施し、昨年度分の記録とともに総合することによって、より精度の高い総作品目録の完成にこぎつけた。 つぎに、この調査結果を踏まえて、課題に掲げた款印に基づく考証研究をおこなった。具体的には、絵師春章が用いた主として四つの印判の使用状況を分類・整理し、それぞれの使用時期について考察を加え、さらにまた、各用印の印文の意味についても掘り下げて論述した。なおその成果は、論文という形で『出光美術館研究紀要』12号に掲載・発表した。 なお、研究の過程で海外からも作品に関する情報が寄せられ、新発見・再発見の作品が新たに加わったことは望外の喜びであり、これらも総目録に追加することができ、基礎研究の重要性をあらためて痛感した。 他方、これら一連の研究の過程で副産物として得られた春章以外の浮世絵師とその作品に関する貴重な知見・情報は、2007年4月より公開予定の出光美術館『肉筆浮世絵のすべて』展(監修を担当)で執筆した図録の論考・解説に援用することができた。
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Research Products
(2 results)