2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出原 隆俊 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10145930)
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Keywords | 新世界 / あほら誌 / みをつくし / 通俗学芸志林 / 天然と詩人 |
Research Abstract |
東京大学明治新聞雑誌文庫や日本近代文学館に出向いての調査を行って、明治中期の関西文壇についての記事が掲載されている雑誌の新たな発見に努めた『新世界』などがそれに当たる。また、新たに、関西発刊の雑誌『車百合』、『あほら誌』、『みをつくし』、『通俗学芸志林』などを探し出し、検討の対象となる事を確認した。従来知られていなかった資料である。そのなかで、『みをつくし』に掲載された「歴史的観念を論じて大阪の文学に及ぶ」が研究課題にとって、極めて重要な論文であることが判明した。『通俗学芸志林』には、中央文壇で名前の知られている人物の作品が掲載されていることも判明した。同時掲載の側面もあるが、後の夏目漱石や芥川龍之介が東西の新聞に小説を同時掲載したことの<はしり>とも考えられる。 また、関西に基盤を置いた作家の単行本については、国会図書館などで所蔵されていないもの=見ることが出来ないものを、各種の古書目録やインターネットを使って明らかにし、前年度にさらに付け加えることができた。主要な作家分については、ほぼ収集することができた。 さらに、関西に限らず、他の地方で中央文壇に対してどのような反応を示しているのかを調査した。重要な成果の一つとして、北村透谷の「万物の声と詩人」がほぼ同内容で、「天然と詩人」という題名で別人の批評文として発表されているのを見つけた。
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