2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治下台湾に関する日本近代文学と「日本語文学」の比較研究
Project/Area Number |
17520118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
浦田 義和 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00151944)
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Keywords | 台湾文学 / 日本語文学 / 植民地文学 / 台湾作家 / 日本近代文学 / 占領と文学 / 沖縄文学 / 日本統治期 |
Research Abstract |
1 基本的文献の収集 基本的文献として、文学作品(小説、詩、随筆、戯曲、評論)については、『日本植民地文学精選集』(ゆまに書房)『日本統治期台湾文学作品集』『同文芸評論集』『日本統治期台湾文学集成』(以上、緑陰書房)などが既に刊行されているが、その中から、中国語で書かれた1930年代の文芸評論を数点翻訳し、大まかに言って、時代と関わりながら、日本語標記と中国語表記の併存、両表記間に横たわる文学観の揺れという問題の一端を確認した。また、研究文献として、「植民地文化研究」や「天理台湾研究会年報」などの雑誌バックナンバーを収集し、かなりな程度の研究蓄積の存在を確認した。 2 情報収集、資料収集 台湾・台南にある国家台湾文学館を訪問し、台湾での台湾文学研究の現状の大よそを知ることによって、日本統治下の台湾文学および「日本語文学」が、かなり重要な位置を占めていることが分かった。また、国内の台湾文学研究者で天理大学の下村作次郎氏、琉球大学の星名宏修氏などを訪問し、台湾文学研究の現状と課題についてお聞きし、特に現存する台湾作家に対する聞き取り調査の必要性を認識した。そこで、台湾・台南で、作家の葉石涛氏および台北の作家巫永福氏とお会いし、若干の聞き取り調査を実施し、台湾文学の歴史と現状、日本留学時代の文学と帰台後の文学についての生な感想を伺い、複雑な台湾文学の側面が認識できた。その他中国・北京で開かれた国際会議や国内学会に出席し、中国、ニュージーランドおよび国内の沖縄を含む植民地文学研究の全般に亘る最近の研究状況の一端を把握した。 資料については、琉球大学附属図書館や国家台湾文学館、新聞資料や、紀要などから一部の貴重な研究資料を入手するとともに、台湾現地書店で復刻資料を購入することによって、まだ、明らかにされていない作品の存在や、台湾での最近の研究状況などが分かった。 3 資料整理、分析 1,2を整理した結果、今年度の作業を継続するとともに、更に国内研究者、台湾現地研究者及び現地作家との交流、聞き取りの必要性を再認識するとともに、新たに雑誌資料や新聞資料などにも着目することの必要性が分かった。
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