2006 Fiscal Year Annual Research Report
寺社縁起形成を視点とした慈円法楽百首群についての基礎的研究
Project/Area Number |
17520124
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
石川 一 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (80193283)
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Keywords | 拾玉集 / 法楽百首 / 叡山 / 伊勢 / 賀茂 / 日吉 / 四天王寺 / 北野 |
Research Abstract |
本研究は、慈円の諸社法楽百首群を中心として、その内容を分析するためのものである。選出された歌題についての基礎的な考察は不可欠のものだが、底流には当時における寺社縁起が関係している。その寺社縁起に関する資料整理を行った上で、法楽歌全般に関する和歌表現などの課題が多く残されている。 慈円の諸社法楽百首群には携帯を異にする個別の伝本の他に、『拾玉集』各系統本に収載された作品が存在する。しかし、この内、文集百首(北野社法楽)・法華要文百首(石清水八幡宮法楽)についての基礎的考察はほぼ完了しているので、その他の法楽百首に関する作業を進める段階に至っている。 昨年度の難波百首(四天王寺),四季題百首(伊勢)の調査に引き続いて、今年度は春日百首・春日百首草(春日社)・賀茂百首(賀茂社)を中心として、作業を行った。寺社縁起の形成過程を体系的に考究することを目的として、寺社縁起に関する資料整理に焦点を絞ることにした。諸機関に所蔵の伝本を博捜し、遺漏の無いように心掛けると共に、関係書籍の調査収集にも腐心した。 遅々とした歩みであるが、これまで不明であった点が徐々に明らかになってきている。最終年度まで確実な作業・考察を進め、実のある研究成果を上げたいと思っている。
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