2007 Fiscal Year Annual Research Report
寺社縁起形成を視点とした慈円法楽百首群についての基礎的研究
Project/Area Number |
17520124
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
石川 一 Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (80193283)
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Keywords | 拾玉集 / 法楽百首 / 叡山 / 伊勢 / 賀茂 / 日吉 / 四天王寺 / 北野 |
Research Abstract |
本研究は、慈圓の諸社法楽百首群を中心として、その内容を多角的に分析することを目的とする。選出された歌題についての基礎的考察は不可欠だが、その底流には詠作時点での寺社縁起が濃厚に関係している。その寺社縁起に関する資料整理を行った上で、法楽歌全体に関する和歌表現などの多くの課題が残されている。 慈圓の諸社法楽百首群には、形態を異にする個別の伝本の他に、『拾玉集』各系統本に収載された作品が存在している。しかし、この百首群の中で、文集百首(北野社法楽)・法華要文百首(石清水社法楽)についての基礎的考察はほぼ完了しているので、その他の法楽百首に関する作業を進めることが可能である。 初年度は難波百首(四天王寺法楽)・四季題百首(伊勢神宮法楽)、二年度は春日百首・春日百首草(共に春日社法楽)・賀茂百首(賀茂社法楽)の調査を行ったが、今年度は寺社縁起の形成過程を体系的に考究するために、寺社縁起に関する資料整理を中心に進めてきた。諸機関に所蔵される伝本を博捜し、遺漏の無いように心掛けると同時に、関係書籍の調査収集に努めた。 国文学研究資料館が立川移転のために年度後半を閉館するという出来事に見舞われたが、何とか着実に作業・考察を進めている。最終年度には実のある研究成果をまとめたいと思っている。
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