2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
川崎 剛志 就実大学, 人文科学部, 教授 (70281524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 正人 就実大学, 人文科学部, 教授 (70368695)
佐藤 明浩 都留文科大学, 文学部, 助教授 (20225915)
近本 謙介 天理大学, 文学部, 助教授 (90278870)
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Keywords | 山岳修行 / 行尊 / 和歌 / 大峯 |
Research Abstract |
本研究は伝記研究(川崎統括)と詠歌研究(佐藤統括)を柱とする。まず伝記研究については、公家日記類、伝記、説話集等から、関連記事を検索・一覧する作業を進めており、その作業の過程でいくつかの興味深い問題が表れてきた。とりわけ注目されるのは、室町初期以降、聖護院門跡を頂点とする修験道再興の動きのなかで、改めて行尊の存在が注目を浴びた点である。すなわち、聖護院門跡が二条家出身の良意・満意、近衛家出身の道興と譲られ、同門跡による熊野三山検校職の独占化が進められるなかで、三山検校の祖として、白河院初度熊野御幸の先達をつとめた増誉に次いで、「貴種」の行者、行尊も一段と高みに置かれるに至ったのである。 次に詠歌研究については、『行尊大僧正集』の伝本研究と注釈作業を進めている。このうち伝本研究については、宮内庁書陵部本(150・566)と冷泉家時雨亭文庫本(資経本、冷泉家時雨亭叢書『資経本私家集四』所収)を詳細に比較・検討した結果、下記のことが明らかになった。(1)両本の本文内容はほぼ同一であり、すでに指摘されているとおり、時雨亭叢書本は書陵部本の親本であると断定してよい。(2)書陵部本は、一面行数、行詰め、行替えの箇所をはじめ、傍書、ミセケチ等の処理に至るまで、時雨亭叢書本を忠実に書写しており、誤写はほとんどない。ただし、漢字・仮名の別や使用している仮名の種類等が異なる例もみられ、臨模という書写態度ではない。(3)現在、時雨亭叢書本において虫損等で解読が困難な箇所が、書陵部本において通常どおりに書写されている場合がある。(2)の書写態度に照らして、これらは、書陵部本が写される段階では、判読できる状態であり、それを忠実に書写した結果と考えられる。したがって、これらの部分では、時雨亭叢書本の欠を書陵部本によって補うことができる。
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Research Products
(2 results)