2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520135
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
大島 由紀夫 群馬工業高等専門学校, 一般教科(人文科学系), 教授 (80233104)
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Keywords | 神道集 / 縁起 |
Research Abstract |
本研究は、『神道集』の古本系諸本・流布本系諸本を比較検討して校本を作成することから始発し、訓読文を作成しつつ、語注を加えるという作業を『神道集』全編にわたって完成させることが最終目的であるが、研究期間(2年)内においては、『神道集』五十話のうち、その内容が<物語的縁起>として分類されている諸話について作業を終了し、全編を校注・訓読する第一段階とすることを計画した。 前年度の成果を承けた本年度の研究実績は次のとおりである。 (1)物語的縁起に分類される諸話につき、旧赤木文庫蔵本を底本として、真福寺蔵本二種・神宮文庫蔵本二種など、他の主要伝本との校合作業が終了した。但し、旧赤木文庫蔵本は貴重古典籍叢刊(角川書店)の影印本により、旧赤木文庫蔵本を含めた天理図書館蔵の二種の伝本については、原本を披見することが叶わなかった。 (2)前記(1)の成果にもとづき、巻六・巻七・巻八の十七話の訓読文作成と、その電子テキスト化が完了した。 (3)注釈作業に必要な資料・情報の収集、並びに従来の研究成果の把握については、ほぼ計画どおり進み、実地調査の成果と統合する段階に至った。特に、上野国関係話の注釈に必要な予備作業はほぼ終了した。 (4)前記(3)に関する作業の過程で、『神道集』所収話と質的に連接する『鹿嶋大明神縁起草紙』、『神道集』所収話の在地的展開を考える上で有益な視点を提供する『常福寺事蹟縁記』などを見いだし、翻刻紹介した。 本研究の成果をふまえ、『神道集』全編の校注に向けて今後も作業を継続していくが、福田晃・石井行雄・小助川元太の各氏と共に、伝承文学全注釈叢書(三弥井書店)の一書として『神道集(上)・(下)』を平成21年中に刊行することを予定している。
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Research Products
(2 results)