2005 Fiscal Year Annual Research Report
野郎歌舞伎の演技・演出-「与論十五夜踊り」と新出の文献・絵画資料による研究-
Project/Area Number |
17520136
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
武井 協三 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 教授 (60105567)
|
Keywords | 野郎歌舞伎 / 与論十五夜踊り / 奴ことば / 藩邸記録 / 歌舞伎図屏風 / 城籠踊り・舞踊集 |
Research Abstract |
「与論十五夜踊り」の現地調査を実施し(9月16日〜19日)、ビデオ撮影と関連資料の収集を行った。本年度予定していた現地予備調査は、予算の関係のためとりやめ、沖縄県立芸術大学の板谷徹教授を招へい、現地の情報を収集することによって代行した。現地では狂言5本のハイビジョン・カメラ撮影を、研究代表者の指示のもとに民俗芸能専門撮影業者によって実施し、当該芸能の撮影記録を作成した。また現地に在る関連資料「二番組大和言葉帖」など3本の撮影も実施した。さらに与論十五夜踊り二番組保存会会長仁禮清氏(80歳)に面談し当該芸能の聞き取り調査を行った。これらによって「与論十五夜踊り」狂言台本の古本として龍野興澄編著「城籠踊・舞踊集」(和綴じ青表紙本30頁)の存在が知られ、来年度以降に調査を継続することとなった。現存本としては「与論町誌」所載の本文が信頼できるものであることが知られ、同書は入手することが出来た。上記の現地調査のほか、佐渡市猿八山舎(3回、8日)、たばこと塩の博物館(1回、1日)、金沢市立玉川図書館(依頼調査)などで文献資料・絵画資料の調査を実施した。当初予定していた山口県立山口図書館、弘前市立図書館、今治市河野美術館は今年度は調査が及ばなかったが、関連資料の所蔵が判明した大阪府立中之島図書館(2回、2日)、広島市立中央図書館(2回、2日)で調査を実施した。その他、新出資料として発見した鎌倉新蔵芝居番付について、奈良女子大学教授井口洋氏と意見交換し、香川県琴平町金丸座において野郎歌舞伎時代の劇場照明についての調査を行った。 本年度は、基礎資料の収集に当てたため、論文執筆等は次年度以降にせざるを得なかったが、韓国高麗大学における国際学術会議「18世紀アジアの公演文化」において招待研究発表「玉川千之丞の登場-歌舞伎演技の形成-」を口頭発表した。これは本研究の成果の一部である。
|