2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 徹也 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80003531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 吉文 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091473)
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
西村 龍一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10241390)
堀田 真紀子 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (90261346)
山田 貞三 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (50128237)
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Keywords | 独文学 / 社会学 / 思想史 / 文学論 / 芸術学 / メタファー論 / テクスト論 |
Research Abstract |
研究計画に従い、本年度は、前年度に着手した「メタ思考」と「メタファー」の関係性に対する理論的な研究をより精緻なものにすること、ならびにその具体的な現われを文学・批評・思想等のテクストから抽出し、理論的仮説の妥当性を検証することを中心テーマとして研究作業を進めた。理論的な研究に関しては、前年に引き続き、リクールをはじめとする現代隠喩論の視点を検討した。その際、メタファーがもたらす意味の二重化現象に対し、それらを「分離する」あるいは「結合する」の違いはあるにせよ、両者の境界領域の可視化を肯定的に捉え、テクストの創造性と解釈の多様性へと関連付けるといった共通の方向性が確認された。しかし、多くは自身の「観察のメタレベル化」という階層構造に対しては無自覚であり、自己関係性の構造まで踏み込んだ理論的枠組みの必要性が今後の課題となっている。他方、具体的なテクスト分析では、ブルームやカフカ等ユダヤ人作家に見られる宗教テクストとその解釈におけるメタファーの生産的役割、戦後ドイツ文学におけることばの意味の分解・再構成の実験とその方法論としてのメタファー、ロマン派から現代に至るユートピアとしての芸術コミュニティ幻想とそれを志向するテクストが孕む逃避的メタファーの機能、等が主たるテーマとなった。いずれの分析対象においても、表現形式に差異はあっても、その根底には「メタファーとメタ思考」の相互依存性が明確に認められた。ただし、先ほど挙げた自己言及構造に関しては、具体的なテクスト分析からもやはり理論的な統一性を明確にするまでには至っておらず、来年度以降の課題となっている。
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Research Products
(3 results)