2005 Fiscal Year Annual Research Report
ダーウィニズム以後の英米のユートピア文学に関する新歴史主義的研究
Project/Area Number |
17520154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
丹治 陽子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (90188459)
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Keywords | C.P.ギルマン / 『女の国』 / E.ベラミ / 『かえりみれば』 / ダーウィニズム / ユートピア小説 / ユートピアニズム / フェミニズム |
Research Abstract |
本研究は、ダーウィニズムが確立した1860年代以降の英米のユートピア文学の特質を、ダーウィニズムとの思想的影響関係のなかで研究しようとするものであるが、研究の1年目にあたる平成17年度は、新歴史的研究という本研究の性格上必須の手続きとして、同時代のさまざまな種類の第一次資料の収集に力を注いだ。そのため8月にはボストン・パブリック・ライブラリおよびハーヴァード大学で集中的に資料を収集した。また、ユートピアニズム関連の近年の研究書の収集にも努めた。帰国後は、ビブリオグラフィを作成しつつ、少しづつそれらの読解を進めた。 そのうえで、本研究の中心テクストとなるC.P.ギルマンの『女の国』(Harland)およびエドワード・ベラミの『かえりみれば』(Looking Backward)を再読した。とくに、このふたつのユートピア小説が、共通点として、ユートピアの不可能性についての自己言及性をもっている点に注目し、それを論じるための準備をした。ユートピアをつくりあげながら、その一方でテクストがつくりあげつつあるそのユートピアがじつは不可能であることを暗示する自己言及的な細部をふくんでいることが、この時代のユートピア小説を特徴づけるものではないかというアイデアについては、来年度に論文として具体化したい。 さらに、「アメリカ的想像力における自然と都市『シスター・キャリー』における自然主義的都市イメージの新しさについて」という論文を書き、『女の国』や『かえりみれば』と同時代の自然主義小説であるTh.ドライサーのテクストをとりあげ、そこに内包されているダーウィニズム的な都市観の特質について論じた。
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Research Products
(1 results)