2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀末のアメリカ小説とナショナリズムの諸相-グローバル化の中の国家と文学
Project/Area Number |
17520166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
好井 千代 Osaka University, 文学研究科, 助教 (90200930)
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Keywords | グローバリゼーション / ナショナリズム / ネオリベラリズム / ヘンリー・ジェイムズ / 19世紀 |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀末にグローバリゼーションの潮流と葛藤しながら時には密接に結びついて発展した欧米ナショナリズムの多様な形態(グローバリゼーションと対立する排他的な民族主義やネイティヴィズムから、グローバリセーションを利用して展開する帝国主義やアメリカの同化主義やcultural pluralismまで)を、同時代のアメリカ文学、特にコスモポリタンを自認すると同時にナショナリズムの隆盛も強く認識していたHenry Jamesの作品を通して分析し、明らかにすることである。この3年間、グローバリゼーションと錯綜した関係を結ぶナショナリズムの複雑な様相を考察し、更に、こうした19世紀末のナショナリズムの様態が、グローバルな現代社会が抱えるナショナリズムの形といかに共通性があり、その源流であったかという点にまで研究を拡大してきたが、こうした3年間の研究をふまえて、本年度は、更に、近年の世界金融危機を招いたネオリベラリズムを様々に論じた最新のグローバリゼーション研究やアメリカ研究の成果を取り入れて、当研究を深化させた。具体的には、Jamesの代表作の一つ、“Daisy Miller"を取り上げ、この小説が、グローバルな規模で他国から利益を吸い上げ国力を増強するという形で19世紀の初期グローバリゼーションを牽引したアメリカを、批判の対象として扱っていると論じた自らの論考を、上記の先端的な現代思想を取り入れて深化させ、ここで問題になっている19世紀のグローバル国家アメリカが現代のネオリベラルな金融帝国アメリカにいかに通じているかを論じた。この再考した論考は、英語論文にまとめた。
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Research Products
(1 results)