2005 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀パリのシャンソンにおける文化の交錯とアイデンティティ
Project/Area Number |
17520168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木原 浩 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (70116177)
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Keywords | ブラッサンス / シャンソン / パリ / セト |
Research Abstract |
1、今年度は、研究目的のうち、「フランスの地方出身のシャンソン歌手達のパリへのコンプレックスと同化」に力点を置き、研究対象としては南フランス地中海沿岸の港町セト生まれのジョルジュ・ブラッサンスに特化した。18歳の時事件を起こしてパリにで、そのパリで詩作・作曲を続け才能が認められ、歌手としても「シェ・パタシュウー」でのデヴュー以後、1953年〜77年にかけての「ボビノ」での公演ほか成功を収め、1966年の「国立民衆劇場」の30回に及ぶリサイタルでは、延べ9万人の聴衆を動員した。1967年にはアカデミー・フランセーズの詩部門でグラン・プリを受賞し、当時も今も圧倒的な人気を誇っている。パリが受け入れ、パリが育てたシャンソン歌手の典型だが、晩年故郷に戻り、希望通りセトの墓地に埋葬された。パリでの成功とは裏腹な望郷の思い、この二律背反を、自作シャンソン『嘆願書、セトの浜辺に埋葬されたし』を分析することで明らかにした(『近代96号』所収2006年2月発行)。 2、2005年9月8日〜23日及び2006年3月13日〜23日、科研費による海外渡航でパリに行き、文献資料・DVD・CD等を多数購入し、オランピア劇場他で現在のシャンソン公演の実態を調査することが出来た。 3、「シャンソン研究会」を開催し、研究者と意見交換し、多くの資料の提供を受けた。 (1)2005年5月27日(金)於信州大学人文学部、発表:三木原浩「ジョルジュ・ユルメール『ひとりの男は待っていた』」、吉田正明「ブラッサンス『セトの浜辺に埋葬のための嘆願歌について』」 (2)2005年12月9日(金)於神戸大学国際文化学部、発表:戸板律子「CHORUS誌世代のシャンソン・フランセーズ-1990年から今日まで」、滝澤壽「与謝野寛・晶子のフランス」 4、2005年7月25日(月)於「舞台芸術・芸能見本市2005大阪」で、「文化創造を辺境から考える」をテーマに、他のパネリストに混じり、ブラッサンス他を例にあげて紹介した。
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Research Products
(5 results)