2006 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀パリのシャンソンにおける文化の交錯とアイデンティティ
Project/Area Number |
17520168
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木原 浩 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (70116177)
|
Keywords | シャンソン / パリ / モンマルトル / コラ・ヴォケール |
Research Abstract |
1、研究目的のうち、今年度は、「フランスの地方出身のシャンソン歌手達のパリへのコンプレックスと同化」を昨年同様に推し進める一方、「パリ生まれのシャンソン歌手における、パリの文化とのアイデンティティ」に力点を置いた。前者では、トゥーロン生まれのジルベール・ベコーやナルボンヌ生まれのシャルル・トレネほか数名を考察した上で、マルセイユ生まれのコラ・ヴォケールに特化し、子どものころ家出してパリに来て以来、モンマルトル界隈をこよなく愛し、フランス語の美しい発音を身につけることで、パリに矛盾なく同化していったことを、持ち歌の『モンマルトルの丘の哀歌』『パリを思えば』『モンマルトルに帰りて』などの分析を通して明らかにした(『近代』97号)。後者では、モーリス・シュヴァリエ、リュシエンヌ・ボワイエ、フランソワ・アルディほか幾人かを比較考察し、その上でエディット・ピアフに特化し、名曲『アコーデオン弾き』末尾の歌詞「止めて!」の分析を通して、人間の根源的孤独と孤独の次に訪れる優しさへの共感を明らかにした(『クインテット』26号)。 2、2006年8月22日〜9月5日、本科研費による海外渡航でパリに出張し、DVD、CD等、多数の貴重な資料を購入したほか、エリゼ・モンマルトル、コメディ・ド・パリ、テアトル・ドヌー等々、群小劇場におけるシャンソン講演の現時点での実態を調査することができた。 3、「シャンソン研究会」を開催し、研究者と意見交換し、多くの資料の提供を受けた。 (1)2006年5月19日(金)於信州大学人文学部、発表:三木原浩「シャンソン」のパリ、モンマルトルのメロドラマ」戸坂律子「Chorus世代のシャンソン・フランセーズ(2)」、吉田正明「ブラッセンス『澄んだ泉の水の中で』について」 (2)2006年11月1日(水)於神戸大学国際文化学部、発表:瀧澤壽「佐伯祐三のパリ」、松島征「シャンソン・ポエティックのために」 4、日仏文化講座:講演『メロドラマのシャンソン』、2006年6月13日(火)、於神戸国際会館。 5、神戸大学国際文化学部公開講座:ひょうご講座:講演『歌のことばが伝えるもの』、2006年11月11日(土)、於神戸大学国際文化学部。
|
Research Products
(2 results)